犬が前足をかばうように歩く「びっこ」は、飼い主さんなら誰でも心配になるでしょう。見た目に痛そうな場合、「様子を見よう」と安易に考えず、原因を早く見つけることが大切です。
実際、前足は体重の約6割を支えるため、異常があると歩行だけでなく立ち上がりや食事など普段の生活に支障が出ます。
この記事ではよくある前足のびっこについて、考えられる原因をいくつかの種類に分け、詳しく説明します。それぞれの症状をはじめ家での観察ポイントや緊急度、対応と治療、予防策など飼い主さんに必要な情報をまとめました。
愛犬が早く元気になり、また走り回れるようにぜひ参考にしてください。
犬の前足がびっこになる原因とは?

犬が前足をびっこにして歩くのを見ると、骨折や重い病気ではないかと心配になる飼い主さんもいるでしょう。
しかし、前足のびっこの原因は必ずしも重病だけではありません。日常生活でのちょっとしたトラブルや一時的な不調が原因である場合も多いです。
まずは、よくある原因を知っておくことで過剰な心配をせずに落ち着いて対応できるはずです。ここでは比較的よく見られる原因をわかりやすく説明します。
軽いケガ・捻挫や打撲
犬の前足のびっこの原因としてよく見られるのは、軽いケガや捻挫、打撲などです。散歩中に段差や縁石で足を踏み外したり急な方向転換で足をひねったりすると、関節や筋肉に負担がかかります。
また、ソファやベッドからの飛び降りも着地の衝撃が前足に集中しやすいため原因の一つとなります。
また外見上、腫れや出血がなくても内部で炎症が起きていることがあります。そのような場合、触ると嫌がったり足を引っ込めたりすることがあります。歩き始めだけびっこが出て、しばらくすると普通に歩くこともよくあります。
このような症状が見られた場合は、無理に散歩を続けず、滑りにくい床で安静に過ごさせることが重要です。多くの場合は数日で症状は改善しますが、痛みが強くなるようであれば、獣医さんに相談するようにしてください。
肉球・指のトラブル
犬が前足をかばう原因として肉球や指のトラブルが考えられます。肉球が乾燥してひび割れると、地面に触れるたびに痛みを感じ、歩行を嫌がるようになることがあります。特に冬やエアコンの効いた部屋では乾燥しやすいので注意が必要です。
夏は熱いアスファルトで軽いやけどを負うことも多く、短い散歩でもダメージを受けることがあります。小石やトゲが指の間に挟まったり、爪が折れたりすると、急に足を引きずることもあります。
もし犬が頻繁に足先をなめたり、床に足を置きたがらない様子が見られたら、痛みをこらえている兆候かもしれません。普段から散歩後に足先をチェックする習慣を持つことが大切です。
一時的な疲労
愛犬がいつもより長く散歩や運動をした後で前足をかばうように歩くなら、一時的な疲労が原因かもしれません。例えば急に運動量を増やすと、筋肉や関節に負担がかかりすぎて、回復が間に合わなくなることがあります。また、若い犬や元気な犬でも遊びに夢中になりすぎると、次の日に足をかばうことがあります。
もし、触っても強く嫌がらずに休息で徐々に良くなるようなら、まずは安静にして水分を十分に与えましょう。多くの場合は、これで自然に回復します。
しかし、数日たっても状態が良くならない、または運動量を減らしても同じ症状を繰り返す場合は疲労以外の原因があるかもしれないので、獣医さんに相談することをおすすめします。
犬の前足がびっこになったときに考えられる病気
犬の前足のびっこが続く場合、一時的なものだけでなく病気が潜んでいるかもしれません。特に痛みが強い、または良くならない場合は注意が必要です。そういった場合、放置すると症状が悪化する危険もあります。
ここでは、獣医学的に注意すべき代表的な病気について解説します。
関節・骨の病気
関節炎
関節炎は、年を取ると関節の軟骨がすり減って起こりやすくなります。軟骨がクッションの役割を果たせなくなると、骨同士が直接ぶつかり合って炎症や痛みが出て、前足をかばうような歩き方になることがあります。
特に太っている犬は、体重のせいで関節への負担が大きく、症状が進みやすい傾向です。さらに寒い時期は血行が悪くなり、関節がこわばったり、痛みが強くなったりすることも少なくありません。また動き始めや立ち上がる時に足を引きずるのが目立ったり、階段を嫌がる様子が見られたりします。
症状が進むと、ずっと痛みが続き、散歩に行きたがらなくなったり、日常生活に支障が出たりすることもあります。
肘関節形成不全
肘関節形成不全は、生まれつきの骨の異常が原因で起こる関節の病気です。肘の関節を作っている複数の骨の成長具合がバラバラになることで、関節がうまく噛み合わなくなり、炎症や痛みを引き起こします。
大型犬や成長期の犬によく見られ、若い時から前足をかばうようになることもあります。成長するにつれて体重が増えたり、活発に動いたりすることで関節への負担が大きくなり、症状がだんだん悪化することも珍しくありません。
さらに、放っておくと関節炎になることもあり痛みが続くケースも見られます。そのため早く見つけて、体重管理をしっかり行い、無理のない範囲で運動させることが将来悪くならないようにするために大切です。
脱臼・骨折
脱臼や骨折は、交通事故や高い所から落ちたり、何かに強くぶつかったりした時に起こります。犬にとっても大変痛いので、前足を完全に浮かせて歩こうとすることがほとんどです。
患部を触るとすごく嫌がったり、鳴いたりすることがあり無理に触ろうとすると噛みつかれることもあります。これらの症状が出たら、すぐに病院へ連れて行くことが重要です。場合によっては手術やギプス固定、リハビリが必要になることもあります。もし、けがをしたら早く対応することが大切です。
神経系の病気
頸椎ヘルニア
犬の頸椎ヘルニアは、首の骨の間にある椎間板が傷んだり飛び出たりして、近くの神経を圧迫することで起こります。症状は、前足のびっこのほかに、首や肩の痛みを伴うことが多いです。
犬は、頭を下げたり上げたりするのを嫌がるかもしれません。首輪に触ろうとすると怒ったり、抱き上げると鳴いたりすることもあります。
病気が進むと、前足に力が入りにくくなり、歩き方が不安定になったり、ふらついたりすることがあります。初期の症状は分かりにくいこともあるので、何かおかしいと感じたら早めに獣医さんに診てもらうことが重要です。レントゲンやMRIなどの画像検査で、詳しい状態を調べてもらうようにしましょう。
神経の圧迫
神経の圧迫は腫瘍ができたり、骨が変形したり椎間が狭くなったりすることで起こることがあります。犬の体内にある神経が圧迫されると、前足に力が入らなくなって足がふらついたり、踏ん張れなくなったりすることがあります。
痛みよりも先にしびれや麻痺といった症状が出ることが多く、飼い主さんが気づきにくいことがあります。
症状はゆっくりと進むことが多く、時間が経つにつれて歩くのが難しくなることがあります。神経の圧迫が疑われた場合、その原因を調べるためには、神経の検査や画像検査など獣医さんによる詳しい診察が必要です。
免疫・炎症性疾患
免疫介在性関節炎
免疫介在性関節炎とは、本来は体を守る免疫機構が誤って自分の関節を攻撃してしまう病気です。免疫が犬自身を攻撃してしまうことで関節に炎症が起こり、前足をかばうような歩き方(跛行、はこう)が見られるようになります。
さらに症状は一つの関節だけでなく、複数の関節に同時に出ることも多く、左右同じように痛みが出ることがあります。炎症が全身に広がると、発熱や元気がなくなる、食欲が落ちるなどの全身症状を伴うことも少なくありません。
免疫介在性疾患の場合は血液検査や関節液検査で診断することが多く、原因を特定することが重要です。治療には免疫を抑える薬などを使用するため、症状のコントロールと副作用の管理を含めた長期的な治療が必要です。
多発性関節炎
多発性関節炎は、免疫システムが過剰に反応し、自分の関節を敵とみなして攻撃する炎症性の病気です。特に手首や肘など、体重がかかりやすい関節に炎症が起こりやすく、前足を引きずる症状がよく見られます。
多発性関節炎の大きな特徴は、痛む場所が日によって変わることです。例えば、昨日痛かった右前足ではなく、今日は左前足をかばっているといった症状の移動が見られます。関節の痛みだけでなく、発熱や元気消失のほかに食欲不振、体のこわばりなど全身症状を伴うことも多く慢性化すると生活の質が大きく低下するため、早期の治療が大切です。
腫瘍
骨腫瘍
骨腫瘍は、特に大型犬や年配の犬によく見られる病気です。最初に、前足を引きずるような症状が出ることがあります。最初は軽いもので、普通に散歩できる程度なので、見過ごされやすいかもしれません。
ただ、腫瘍の進行が進むにつれて、痛みはだんだん強くなります。さらに腫瘍が大きくなると犬は次第に歩くのを嫌がるようになり、足を地面につけたがらなくなるのが普通です。病気の部分が腫れたり、骨が変形したりすることもあり、触るととても痛がることがあります。
さらに病状が進むと、骨折しやすくなるので注意が必要です。早めに変化に気づいて病院で診てもらえば、手術や放射線治療など、いろいろな治療法を選べる可能性があります。
神経系腫瘍
神経系の腫瘍は、脳や脊髄、末梢神経などにでき、神経がきちんと働くのを邪魔することで症状が出ます。
前足を引きずることに加えて、歩き方がおかしくなるのが徐々に進むのが特徴です。最初は少し変な程度でも、だんだん悪くなります。
痛みがあまりなく、麻痺や力が入らないといった症状が先に出ることもあるので、見つけるのが遅れがちです。場合によっては転びやすくなったり、姿勢を保てなくなることもあります。
きちんと診断するには、MRIやCTなどの詳しい検査が必要です。治療は専門の病院で手術や放射線治療を受けることが多いです。
犬の前足がびっこになったときの対処法

愛犬の前足に異変が見られたら、まずは落ち着いて原因を特定しましょう。軽いけがなのか、あるいは大きなけがや病気など治療を要する状態なのかを見極めることが重要です。
まずは散歩などの運動を控え、安静にして様子を見てください。多くの場合、適切なケアで自然に回復しますが、症状が改善しない場合は、病気が潜んでいることも考えられます。ここでは、ご家庭でできる具体的な対処法を段階的に解説します。
ケガがある場合はまず清潔に
犬の前足に傷を見つけたら、まず傷口をきれいにすることが大切です。消毒液を使いたくなるところですが、基本は清潔な水道水で洗い流すことです。
具体的にはぬるま湯を弱めのシャワーにして、砂や汚れを丁寧に洗い流しましょう。その後、清潔なガーゼやタオルで優しく水分を吸い取るように拭いてください。タオルで強く拭くと組織を傷つける可能性があるためです。
また、人間用の消毒液は犬には刺激が強すぎる場合があり、回復を遅らせることもあるため極力使わないようにします。さらに出血がある場合は、清潔なガーゼで数分間しっかりと圧迫止血してください。
また、犬が傷口を舐めると、雑菌が入り込んで悪化することがあります。包帯や靴下、エリザベスカラーなどで保護してあげると安心です。赤みや腫れがひどい場合は、早めに獣医さんに診てもらいましょう。
安静にさせる
犬が足をかばう様子を見せたら、すぐに散歩や遊びを中止してください。ケージやサークルなどを使って、行動範囲を制限し、安静にさせることが重要です。歩いたり、走ったりすることで痛みや炎症が悪化する可能性があるためトイレ以外での移動は最小限にさせましょう。
軽いねんざや筋肉の疲れであれば、1~3日程度の安静で自然に良くなることもあります。この間は、ジャンプや階段の上り下りも避けるようにしてください。ただし、足を引きずる状態がだんだんひどくなる、全く足を地面につけない、食欲がないなどの症状が見られる場合は注意が必要です。
安静にしても良くならない場合は自己判断せずに、すぐに獣医さんに相談してください。
床に滑り止めグッズを
室内環境を見直すことも、犬の回復を助ける上で大切なことです。フローリングなどの滑りやすい床には、カーペットやマット、ペット用の滑り止めワックスなどを使い、転倒を防ぎましょう。特に、歩き始めや方向転換の際に滑りやすいため、よく通る場所に重点的に対策をすると良いでしょう。
犬がソファやベッドから飛び降りることは、前足に大きな負担をかけます。ステップやスロープを設置してあげると安心です。階段がある家では、柵を設けて侵入を防ぐと、怪我の防止につながります。
これらの対策は、怪我の再発を防ぎ、安静にする効果を高めます。しかし、環境を整えても状態が改善しない場合は、関節や骨に問題があることも考えられます。早めに動物病院で診察を受けましょう。
犬の前足がびっこになったときにすぐに受診すべき症状

犬が前足をかばう様子が一時的でなく長引くようであれば、放っておくと状態が悪化し、治りにくくなることがあります。軽くひねったように見えても、実際には骨や関節、神経に問題が起きていることも珍しくありません。
ここでは、それぞれの症状について、どの程度急を要するのかを説明し、診察を受ける際に役立つ準備についても紹介します。
激しい痛みで鳴く・触るのを嫌がる
前足を触ろうとしたらキャンと鳴いたり、うなったり、怒ったりするような明確な拒否反応を示す場合、神経の損傷や骨折、脱臼、または急性の炎症など強い痛みを伴う病気が考えられます。
特に足を完全に上げて、全く体重をかけない場合は、すぐに診てもらう必要があります。痛みが強い状態が続くと食欲がなくなったり、眠れなくなったり、ストレスが溜まったりして全身の状態が急速に悪化する可能性があります。
また、痛みをかばうことで、他の足や関節に負担がかかることも忘れてはいけません。
そのため痛みを我慢させずに、その日のうちに病院へ連れて行くのが良いでしょう。家では無理に触らず、歩く様子や痛がる様子を動画で撮っておき獣医さんに見せると、よりスムーズで正確な診断につながります。
腫れ・熱が続く
前足に明らかな腫れや熱が続く場合は、打ち身による内部出血や細菌感染、さらに関節炎、靭帯の損傷などが進んでいる可能性があります。特に触ると熱い、時間が経つにつれて腫れがひどくなる場合は注意が必要です。
このような場合、できるだけ早く、遅くとも24時間以内に炎症を抑える治療や検査を受けることをおすすめします。応急処置として濡れたタオルで冷やすと良いですが、もし改善が見られない場合はすぐにやめてください。
放っておくと炎症が慢性化し、膿が溜まったり、関節の機能が低下したりする恐れもあります。熱があるかどうかは、左右の前足を同時に触って比べると、判断しやすくなります。
元気・食欲が落ちている
前足をかばうことに加えて、元気がない、食欲がない、ずっと寝ているといった状態が見られる場合は、痛みや炎症が強く、全身に影響が出ている可能性があります。
安静にして48時間以上経っても良くならない場合は、関節の形成不全、椎間板ヘルニア、慢性的な関節の病気なども考える必要があります。
軽いねんざや筋肉痛であれば、通常は1〜2日で良くなるはずなので、それ以上症状が続く場合は、様子を見るのはやめましょう。早めに病院へ行くことで、レントゲンなどの検査を行い、適切な治療方法を決めることができます。診察の際には、症状が出始めた日時や歩き方の変化、食欲の変化などを記録しておくと役に立ちます。
24時間以上経っても症状が続く場合
一晩安静にしても前足のかばい方が良くならない場合は、「もう少し様子を見よう」と自己判断せずに、病院へ連れて行きましょう。
犬は本能的に痛みを隠す動物なので、見た目は元気そうにしていても、骨や関節、神経は確実にダメージを受けていることがあります。病院へ行くのが遅れるほど、治療期間が長くなり、手術や長期の薬の服用が必要になることもあります。
その結果、治療費がかさんだり、愛犬の負担が増える可能性が高まります。早く見つけて、早く治療することが、早く良くなり、後遺症を防ぐ最善の方法です。
飼い主さんが少しでもおかしいと感じたら、すぐに病院へ行くことが、愛犬を守るためにとても重要です。
犬の前足がびっこになったとき病院で受ける検査や治療
犬の前足のびっこが重度の場合は、動物病院で問診と視診から始め、触診、そしてレントゲン検査などの画像診断で原因を特定します。
外見から判断できない骨折、関節の病気、あるいは感染症などが原因となっていることもありますので、獣医に診てもらうことが重要です。検査の結果をもとに、鎮痛剤の投与や、必要に応じて手術などの治療を始めます。初診の費用は検査を含めて5,000円から20,000円くらいになることが多いです。
ここでは具体的な検査や治療について解説します。
視診・触診
まず、犬が歩く様子や立ち上がる時の状態をよく観察します。
事前に撮影した動画があれば犬が足をどれくらい浮かせて歩いているか、体重のかけ方に左右差がないか、動き始めや方向転換の際に痛みが出ていないかなどを詳しく見ることができます。
触診では関節の動く範囲、腫れや熱感、押したときの痛みを丁寧に確認し、骨折や脱臼、炎症を起こしている場所を特定していきます。触診による犬の反応から、痛みの程度や緊急性、痛み止めの必要性などを判断します。
これらの検査は犬への負担が少なく、すぐにできますが、異常がはっきりしない場合は、レントゲン検査などの画像検査を行います。
レントゲン検査
視診と触診の次に行われることが多いのがレントゲン検査です。
レントゲン検査で骨折や骨腫瘍、関節の形成不全、変形性関節症などを確認し、びっこの原因を特定します。通常は1~4方向から撮影し、費用は3,000円~10,000円程度です。また、肩関節、肘関節、手根部といった前足に特有のトラブルも把握でき、骨のずれや関節の状態を評価します。
そのためレントゲン検査で判断が難しい複雑な異常や、筋肉や靭帯などの病気が疑われる場合は、CT検査やMRI検査が必要になることもあります。レントゲン検査は比較的すぐに結果が出て、診断精度が高いので、治療方針を早く決めることも可能です。
血液検査
炎症や感染症、免疫の病気が疑われる場合には、血液検査を行います。白血球の数やCRP(炎症性タンパク質)の値を測ることで、炎症の有無や程度を把握します。
必要に応じて、リウマチ因子などの免疫に関する項目も調べることも少なくありません。血液検査の費用は、5,000円~15,000円程度です。血液検査は、関節炎や腫瘍などの病気の診断の助けになるだけでなく、肝臓や腎臓の数値も同時に評価できるので、痛み止めや炎症を抑える薬を安全に使えるかどうかを判断する上でも役立ちます。
もし異常が見つかった場合は、治療方針の見直しや薬の調整を行い、定期的に再検査をして状態を確認していきます。
投薬治療
軽度から中程度のびっこの場合は、まず薬による治療を行います。炎症と痛みを抑えるために、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)を使うことが多いです。
一方で免疫の病気が疑われる場合には、ステロイド薬を1~4週間程度処方し、症状を見ながら薬の量を減らしたり、中止したりすることを検討します。細菌による感染が疑われる場合は抗生物質を併用したり、関節への負担を軽くするためにグルコサミンなどのサプリメントがすすめられることもあります。
また、自宅での安静や運動制限、床の環境を整えることなども大切です。副作用に注意しながら治療を進めることで、多くの場合、症状の改善が期待できます。
外科的治療
骨折や脱臼、重度の椎間板ヘルニアなどの場合は、手術が必要になることがあります。手術ではピンやプレートで骨を固定したり、靭帯を再建したりします。
手術費用は、10万円~50万円程度になることが多いです。手術後は、痛みのコントロールと安静にすることが重要です。さらに水中での歩行訓練やレーザー治療などのリハビリをすることで、筋肉の衰えを防ぎ、回復を促します。
高齢の犬や持病のある犬では、体の負担を考慮して、手術ではなく、安静にしたり、薬を飲ませたりする治療法を選ぶこともあります。緊急手術が必要な場合でも、早く治療をすることで歩けるようになることも多いので、早めに動物病院を受診しましょう。
犬の前足のびっこに関するよくある質問
犬の前足のびっこは、軽い打ち身や一時的な違和感から、関節や神経の病気まで、原因が色々あります。見ただけでは程度が判断しにくく、飼い主さんが「様子を見るか」「すぐに病院に行くべきか」迷うことが多い症状です。
ここでは、よくある疑問を中心に、病院に行くべきかの判断や注意点を分かりやすく説明します。愛犬の健康を守るために、参考にしてください。
犬の前足にびっこがあっても元気なら様子見でいいですか?
元気で食欲もいつも通りで、少し足をかばう程度なら、1~2日は安静にして様子を見てもいいでしょう。
ただ、犬は痛みを隠すことがあるので、元気そうに見えても、内部で炎症などが進んでいることもあります。散歩を嫌がったり、歩き始めだけびっこがひどかったり、足を触られるのをすごく嫌がる場合は注意が必要です。
このような様子が見られたら、早めに病院に行った方がいいでしょう。
前足のびっこが一晩で治った場合は病院に行く必要ありますか?
一晩で完全に良くなり、その後も普通に歩けているなら、軽い捻挫や一時的な筋肉の疲れの可能性が高く、必ずしも病院に行く必要はないでしょう。
しかし、同じ足で何度もびっこを繰り返したり激しい運動の後にまたびっこが出たりする場合は要注意です。そのような場合は、原因が隠れていることが少なくありません。症状が出た時の動画を撮っておくと、診察の時に状態を伝えやすいです。
老犬の前足のびっこは病気の可能性が高いですか?
年を取った犬(7歳以上くらい)の前足のびっこは、変形性関節症や椎間板ヘルニアなど年齢からくる病気が原因であることが多い傾向です。
特に朝起きた時や寒い時に症状がひどくなる場合は気を付けてください。最初は軽いびっこでも、だんだん痛みが強くなり生活に支障が出ることもあります。早めに病院で診てもらい、検査や薬、生活環境の見直しをすることで、症状の進行を遅らせられます。
前足のびっこが再発を繰り返す場合はどうすればいいですか?
前足のびっこを何度も繰り返す場合は、ただの軽いケガではなく、関節の形がおかしかったり、靭帯が弱かったり、骨格に問題があるかもしれません。
また、いったん良くなっても再発する場合は、病院でレントゲンやMRIなどの検査を受けることが大切です。体重管理や滑りにくい床にするなどの対策や関節ケアのサプリメントなども、再発を防ぐのに役立ちます。
犬に人間用の痛み止めを飲ませてもいいですか?
犬に人間用の痛み止めを飲ませることは絶対にNGです。
人間の痛み止めのイブプロフェンやアスピリンは、犬にはとても有害で、少しの量でも腎不全や胃腸の出血を起こすことがあります。最悪の場合、命に関わることも多いのです。
痛そうに見えても、使えるのは獣医さんが処方する犬専用の痛み止めだけです。もし間違って飲ませてしまったら、すぐに動物病院に連絡してください。
まとめ
犬が前足をびっこで歩く原因はさまざまです。軽い打ち身や捻挫で自然に治ることもありますが、関節炎や神経の病気、骨の異常などそれぞれ治療が必要な病気が原因のこともあります。
また、一時的に良くなったように見えても同じ足を何度もびっこする、または時間が経つにつれて悪化する場合は注意が必要です。自己判断で様子を見るのではなく、早めに獣医さんへ相談することで、重症化や慢性化を防ぐことができます。
普段から犬の歩き方、行動、痛がる様子をよく観察してみて何かおかしいと感じたらすぐに病院へ連れて行くことが、愛犬の健康を守る上でとても大切です。



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