犬の腎不全は、腎臓の働きが徐々に、あるいは急に悪くなる重大な病気です。しかし、早く見つけて適切に対応すれば、症状の進行を遅らせ、犬の生活の質を保てる可能性があります。
一方で、慢性腎不全(CKD)は一度なると元に戻らず、完全に治すのは難しいです。末期になると水をたくさん飲んだり尿がたくさん出たり、食欲がなくなったり吐いたりといった苦しい症状が出ることも珍しくありません。治療のためには何度も病院に通ったり、特別な食事を用意したりする必要があるため、飼い主さんの経済的、精神的な負担も大きくなります。
そこで今回は、犬の腎不全を急性と慢性に分け、それぞれの症状、原因、病気の進行度合いに応じた治療法や余命について、そして何よりも大切な日々のケアについて詳しく説明します。
犬の腎不全には2種類ある

犬の腎不全は腎臓の機能がとても低下し、体内の不要物や過剰な水分、電解質を十分に排出できなくなる重い病気です。腎不全によって血液中に毒素がたまり、最終的に尿毒症となるおそれがあります。
犬の腎不全は、発症の速度や経過によって「急性」と「慢性」の2種類に分けられ、それぞれ原因や治療法が違います。ここではその違いについて解説しましょう。
急性腎不全(急性腎障害)
急性腎不全とは、腎臓の機能が数時間から数日のうちに急に悪くなる状態を言います。
原因としては、腎臓への血流が不足すること、腎臓自体が傷つくこと、尿管や尿道が詰まることなどが考えられます。例えば、脱水や大量の出血で血流が減ったり、レプトスピラ症という細菌による病気にかかったりした場合に起こることがあります。
中毒も原因の一つで不凍液やブドウ、レーズン、ユリ科の植物、特定の薬などは腎臓に良くない影響を与えます。その上、事故などによるケガや重い心不全、ショック状態なども引き金になることがあります。
早く治療すれば良くなることも多いので、すぐに適切な対応をすることが大切です。
慢性腎不全(慢性腎臓病)
慢性腎不全は犬、特に高齢の犬によく見られる病気で、腎臓の機能が数ヶ月から数年かけてゆっくりと低下していきます。
原因としては、加齢の他に、先天的な病気や遺伝的な病気(糸球体の病気やアミロイドーシスなど)、長引く感染症、歯周病、心臓の病気、高血圧、タンパク質の摂りすぎなどが考えられます。
初期の段階(ステージ1~2)では、はっきりとした症状が出にくいため、見過ごされることがあります。
さらに病気が進むと水をたくさん飲むようになり尿の量が増える、体重が減る、食欲がなくなる、貧血などの症状が徐々に現れます。慢性腎不全は完全に治すのが難しいので、治療では病気の進行を遅らせることを目指します。
主な治療法としては、食事療法、薬を使った治療、輸液、定期的な検査による状態の確認などです。
犬が腎不全になる原因
犬の腎不全は、多くの場合、色々な要因が重なって起こります。
年齢、体調、生活環境などが関係していると考えられています。原因によって病気の進み方や治療法が変わるので、きちんと理解しておくことが大切です。
ここでは犬の腎不全の主な原因を分かりやすく説明します。
急性腎不全の原因
犬の急性腎不全は腎臓の機能が短期間で急激に悪化する重篤な疾患です。脱水、中毒、尿路閉塞など日常的な原因が考えられます。
ここでは、急性腎不全の主な原因をそれぞれ3つの原因から説明します。
脱水・熱中症
体内の血液量が減ると腎臓への血流が不足し、老廃物をろ過する機能が落ちます。特に夏は、熱中症や水分不足で脱水症状を起こしやすく、急性腎不全になる危険性が高まります。
ひどい嘔吐や下痢が続くと、すぐに水分と電解質が失われて脱水状態がどんどん進みます。また高熱が続くと、腎臓の細胞そのものが傷つくこともあります。
交通事故でのケガや大量出血のほかに重いショック状態も、腎臓への血流を大きく減らし、「腎前性」の急性腎不全を引き起こす原因となります。
犬にとっての毒性果物や薬の誤飲
犬にとって、ぶどうやレーズンは摂取量に関わらず急性腎不全を引き起こす可能性があるため、危険です。原因となる物質はまだ特定されていませんが、少量でも重い症状が出ることがあります。
また、人間用の痛み止めであるNSAIDsや一部の解熱鎮痛薬、抗生物質も犬の腎臓に負担をかけます。
加えて不凍液の成分であるエチレングリコールや洗剤、殺虫剤といった化学物質を誤って摂取すると、急速に腎臓が破壊されて命を落とすこともあります。
家庭内には犬に有害なものがたくさんあるので、保管場所や誤飲を防ぐ対策がとても大切です。
尿石・腫瘍
尿石や腫瘍によって尿路が物理的に詰まることで腎不全の原因となります。
例えば膀胱、尿管、尿道に尿石ができると、尿がスムーズに流れなくなり、腎臓に負担がかかります。この状態が続くと腎臓の機能が低下し、「腎後性」の急性腎不全になることがあります。
特に尿道が細い雄犬は尿路が詰まりやすいので注意が必要です。
ほかに泌尿器系の腫瘍も尿路を圧迫したり、塞いだりすることで同じように腎不全のリスクを高めます。
もし排尿回数が減るだけでなく血尿が出てしまったり排尿時に痛みがあるなどの症状が見られたら、すぐに動物病院を受診してください。
慢性腎不全の原因
慢性腎不全は、腎臓の機能がゆっくりと低下する病気です。初期には症状が出にくいため、発見が遅れることがあります。
原因は年齢だけでなく遺伝や他の病気、日頃の健康状態など多くの要素が関係しています。
ここでは、慢性腎不全の原因について飼い主さんが知っておくべき点を解説します。
加齢や遺伝による影響
高齢になると、犬の腎臓は細胞の減少や機能低下により、老廃物をろ過する力が徐々に弱まります。これは自然な老化によるものです。腎臓は再生しにくい臓器なので、ダメージが蓄積しやすいという特徴があります。
また、特定の犬種では遺伝的に腎臓の病気になりやすい場合があります。若い犬でも腎機能が低下することがあります。
遺伝性の病気は見た目に分かりにくいことが多く、定期的な検査をしないと見過ごされることがあるため、早期に健康状態を確認することが大切です。
高血圧
慢性高血圧は腎臓内の細い血管に持続的な負荷をかけ、血管の損傷や硬化を招きます。その結果、腎臓への血流が悪くなり、老廃物や過剰な水分を十分にろ過できなくなる可能性があります。
さらに高血圧は飼主から症状が見えにくいことが多く、気づかないうちに腎臓の働きを悪くしているケースが少なくありません。
さらに腎不全が進むと血圧が上がる場合があり、腎臓の障害を加速させるという悪循環に陥る点に注意が必要です。
歯周病
重度の歯周病になると、歯茎の炎症部分から細菌や毒素が血流に入ってしまい全身に広がる危険性があります。
これらの細菌が腎臓に達すると、腎臓の組織に慢性的な炎症を引き起こし、腎機能の低下につながることもあるのです。
歯周病は口の中だけの問題と思われがちですが、長く放置すると慢性腎不全のような全身の病気になるリスクを高めます。そのため毎日の歯磨きや定期的な口腔ケアは、慢性腎不全の予防という点から見ても、とても大切です。
急性腎不全からの悪化
急性腎不全は、適切な治療で一時的に症状がよくなることがありますが、腎臓の損傷が完全に治らないこともあります。その場合、腎臓の機能が低下したままになり、時間が経つにつれて慢性腎不全に移行することがあります。
その中でも症状が重い場合や治療開始が遅れた場合は、このリスクが高まります。
急性腎不全になった犬は症状回復後も定期的に血液検査や尿検査を行い、長期的な経過を観察することが大切です。
犬が急性腎不全になる症状

犬の急性腎不全は、腎臓の機能が急に悪くなり、全身に色々な症状が出る病気です。 急性腎不全では飼い主さんから見て「なんか元気がないな」程度に思われることが多いですが、 進行速度が速いため、早く治療を始めることが重要です。
ここでは、急性腎不全によく見られる症状について説明します。
急激な元気消失・食欲不振
急性腎不全は腎臓の機能が急に低下し、老廃物や毒素が血液中に溜まることで、全身状態が急速に悪化する病気です。
症状としては、まずぐったりとして動かなくなって徐々に呼びかけへの反応も悪くなるなど、元気がなくなる様子が見られます。また、尿毒症が進むと吐き気や嘔吐がひどくなり、食事ができなくなることもあります。
胃腸の不快感から、よだれが増えたり口を気にしたりする行動も見られることも珍しくありません。
もし、今まで食欲旺盛だった犬が急に食べなくなった場合は、急性腎不全のような重い病気の可能性があるため、注意が必要です。
尿量の極端な減少
急性腎不全は、腎臓のフィルター機能が急に悪くなる病気です。
腎臓の機能が低下してしまうことにより、尿をうまく作れなくなるため、排尿の回数や量が大きく減ることがあります。そのため、ほとんど尿が出ない無尿や少ししか出ない乏尿は、特に重い状態を示すサインです。
尿が出ないと体の中に不要な物質や水分がたまり、血液中の電解質のバランスも崩れます。電解質バランスが崩れてしまった影響で、心臓や神経にも悪い影響が出て、体全体の調子が急に悪化します。そのため、すぐに腎不全の治療を始める必要があります。
重度の脱水、痙攣や意識障害
急性腎不全が進むと吐き気や食欲不振といった消化器系の症状や全身状態の悪化から、重度の脱水になることがあります。これは嘔吐や食欲不振で水分を十分に取れなくなり、体内の電解質のバランスが崩れるためです。
その結果、筋肉の震えや痙攣だけでなくふらつき、意識の低下といった神経症状が出ることがあります。
さらに状態が悪化すると血圧が下がり、最終的にショック状態になる危険性もあります。
もし、反応が鈍いことや立てない、呼吸が浅く速いなどの症状が見られたら、命に関わる可能性があります。すぐに動物病院を受診してください。
犬が慢性腎不全になる症状
犬の慢性腎不全は、腎臓の機能が時間をかけてゆっくりと低下する病気です。初期段階では症状が軽いため、年齢のせいだと見過ごされることがあります。
しかし、病気が進むにつれて全身に様々な症状が現れ、犬の生活の質を大きく損なう可能性があります。
ここでは、慢性腎不全の代表的な症状について解説します。
水を異常に飲む・尿が多い
慢性腎不全の初期症状としてよく見られるのが多飲多尿です。腎臓の機能が低下すると、尿を濃縮できなくなり、結果として薄い尿がたくさん作られます。
そのため、体は水分不足を補おうと異常に水を飲むようになります。
排尿回数や尿量が増えても食欲や元気がある場合は、「年のせい」と飼い主さんが見過ごしてしまうことがあります。
さらに進行するとトイレの失敗が増えたり、水をよく探すようになったりといった行動の変化も現れることがあります。こうした変化に気づくことが、早期発見につながるのです。
徐々にご飯を食べなくなる、痩せてくる
慢性的な腎機能低下が進行すると、体内に老廃物が蓄積し、栄養の吸収や代謝に支障をきたします。尿毒症による吐き気や胃の不快感が慢性的に続くことで、食欲が徐々に減退することがあります。
さらに食事量の減少が長引くと体重が減少し、筋肉量も低下してしまうのです。その結果、外見上も痩せて見え、背骨や腰骨が目立つようになることがあります。
以前は好んで食べていた食事を残したり、食べる速度が遅くなるなどの小さな変化にも注意を払うことが必要です。
このように一時的な不調との違いを見極めることが重要といえるのです。
何度も吐く・下痢が続く
慢性腎不全が進行すると、吐き気や下痢といった消化器系の症状がより強く出るようになります。これは尿毒症によって胃や腸の粘膜が刺激されるためです。
また、これらの症状が続くと体に必要な水分や栄養をうまく吸収できなくなり、脱水状態になったり、体力が落ちたりします。
また、下痢や嘔吐によって犬の体重が減るとさらに体の機能が低下し腎臓への負担が増えて、症状が悪化するという悪いサイクルに陥ります。
一方で一時的に腎不全の症状が落ち着いても何度も再発する場合は、慢性腎不全が進行している可能性があるため注意が必要です。
口臭がひどい・よだれが垂れる
尿毒症の症状として、口臭の悪化やよだれの増加が見られることがあります。これは、体内に溜まった老廃物が唾液に混ざって出ることで、アンモニア臭のような強い臭いを発するためです。これは腎不全が進行して起こる尿毒症も例外ではありません。
また、口の中の粘膜が弱くなり、口内炎や潰瘍ができることもあります。この痛みや不快感から口を気にする様子が増え、よだれが多くなることもあります。
犬の口の異常は外から確認しやすいので、食欲不振や体調不良と合わせて注意して観察することが大切です。
ぐったり・フラフラした様子
慢性腎不全が進行し末期に近づくと、全身の衰弱が目立つようになります。腎臓の機能が低下することで、貧血や電解質のバランスが崩れて体力が大きく落ちてしまうのです。
そのため、立ち上がるのをためらったり、歩き方が不安定になったりすることがあります。横になっている時間が増え、散歩や遊びに興味を示さなくなることも見られるようになります。
さらに階段を避ける、ちょっとした段差でつまずくといった変化も現れ、日常生活に支障が出ているサインと言えるでしょう。
犬の腎不全のステージと余命について

犬の慢性腎不全は、腎臓の機能低下の程度でステージ1から4に分類されます。病気の進行度合いによって症状、治療法、そして平均的な生存期間が異なるため、それぞれのステージの特徴をきちんと把握しておくことが大切です。
ここでは、各ステージの状態と生存期間について説明します。
ステージ1
ステージ1は、腎臓の機能が少し落ち始めた段階ですが、症状はほとんど出ません。
犬は普段と変わらず元気で食欲もあるため、飼い主さんが異変に気づくのは難しいでしょう。多くの場合、健康診断や定期的な血液検査、尿検査で偶然見つかります。
早く見つけられれば、食事や生活習慣を改善することで、病気の進行を遅らせることができます。この段階での平均余命は比較的長く、400日以上生きることも珍しくありません。
ステージ2
ステージ2では、腎機能が少し低下して水をたくさん飲む、尿がたくさん出るなどの初期症状が出ることがあります。
そのため飼い主さんは、犬が水を飲む量や尿の量が増え、トイレに行く回数が多くなることに気づきやすくなります。体調は比較的落ち着いていますが、腎臓への負担は確実に大きくなっているので注意が必要です。
この段階から、腎臓病の犬用の食事にするなど食事による管理がすすめられます。
さらに適切なケアをすることで、犬の生活の質を保ちやすく、平均して200日から400日くらい生きられると考えられています。
ステージ3
ステージ3では、腎臓の機能が中程度に低下し、はっきりとした症状が現れます。
具体的には吐き気や食欲不振、元気がなくなるなどが見られます。これは、老廃物が体内に溜まることで尿毒症が進み、体調が安定しなくなるためです。
また、脱水症状や貧血、体重が減るといった症状も出やすく、日常生活に影響が出始めます。
この段階では、点滴や薬を使った積極的な治療と、頻繁な検査が重要になります。平均的な余命はステージ1や2よりも短く、110日から200日程度という報告があります。
ステージ4
ステージ4は、腎不全の最終段階であり腎臓の働きがかなり落ちている状態と言えます。
腎不全からくる尿毒症がひどくなるため、吐き気のほかに下痢、けいれん、意識の低下といった症状が出ることがあります。食事や水分を摂るのが難しくなり、体全体の衰弱が進みます。
この段階では、治療は腎臓の機能を回復させることよりもつらさを和らげるケアや少しでも長く生きられるようにすることが中心になることが多いです。
さらに状況によっては、自宅でケアを受けることもあります。一般的にステージ4になった犬の平均的な生存期間は、わずか数週間から数ヶ月と言われています。
| ステージ | 主な症状 | 余命の目安 |
| ステージ1 | 症状がほぼない、検査で発見される | 400日以上の場合も |
| ステージ2 | 多飲多尿、軽度の体調変化 | 約200〜400日 |
| ステージ3 | 嘔吐、食欲不振、元気消失 | 約110〜200日 |
| ステージ4 | 重度の尿毒症、衰弱 | 数週間〜数ヶ月 |
犬の腎不全の治療
犬の腎不全治療では失われた腎臓の機能を元に戻すのではなく、病気の進行を遅らせて可能な限り快適な生活を送れるようにすることを目標とします。そして症状や病状の進み具合によって、いくつかの治療法を組み合わせることが大切です。
ここでは腎不全の主な治療方法を説明します。
食事療法
腎不全の治療では食事療法が基本となります。例えばタンパク質とリンを制限することで、体内の老廃物の発生を抑え、腎臓への負担を減らし腎不全の進行を遅らせると考えられています。特にリンの制限は腎機能の悪化を防ぐために重要です。
また、市販されている腎臓病の療法食は必要な栄養素を確保しつつ、腎臓に配慮した成分で作られています。
ただ、自己判断で安易に食事内容を変更するのではなく、獣医さんと相談して犬の状態や病気の進行度合いに合った最適な療法食を選ぶようにしてください。
輸液療法
輸液療法は、脱水症状の改善や、体内に溜まった有害な物質を取り除くために行われる治療です。点滴で適切な水分量を保つことで腎臓への血流を維持し、残っている腎臓の機能を助けます。
急性腎不全では緊急治療として用いられることが多く、慢性腎不全でも状態が悪化した時や、定期的な管理として使われます。
病院での点滴だけでなく、自宅での皮下輸液という方法もあり、犬と飼い主さんの負担を考慮して治療計画を立てることが重要です。
薬物療法
薬物療法は、腎不全に伴う多様な症状と合併症への対応策として用いられます。例えば細菌感染の疑いがある場合は抗生物質、血圧が高い場合には降圧薬、そしてリンの値が高い場合にはリン吸着剤が選択されます。
加えて、尿毒症に起因する吐き気や食欲不振に対しては、制吐剤や胃粘膜保護薬が重要な役割を果たします。
犬の腎不全そのものを根本的に治療する薬は存在しませんが、個々の症状に応じた適切な対症療法を実施することで犬の生活の質を向上させることが期待できます。
血液透析・腹膜透析
重度の腎不全の場合、血液透析や腹膜透析といった腎臓の機能を一時的に代行する治療法が選択肢として挙がります。
これらの治療は、犬の体内にある不要物や過剰な水分を人工的に取り除くもので、主に急性腎不全からの回復を支援するために行われます。
ただし、これらの治療を実施できる動物病院はかなり限られており、費用も高額になる傾向があります。加えて、犬にかかる身体的および精神的な負担も大きいため、治療の適用については獣医さんとよく相談することが重要です。
犬の腎不全で飼い主が気をつけたいこと
犬が腎不全になった場合、飼い主さんの毎日のケアや判断が病気の進行具合や犬の生活の質を大きく左右します。適切な食事、水分補給、そして体調の変化にいち早く気づいて対応することが、治療と同じくらい大切です。
ここでは、腎不全の犬と長く一緒にいるために、日々の生活で特に注意すべき点を説明します。
徹底した食事管理
腎不全の管理において、食事療法は非常に大切です。獣医さんと相談して低タンパク質・低リンの腎臓病用療法食を続けることで、老廃物の発生を減らし、腎臓への負担を軽くできます。
一方でリンを摂りすぎると腎臓の機能が悪化しやすいため、おやつや人間の食べ物はできるだけ避けてください。さらに摂取させるタンパク質は量だけでなく質も大切で、食物による良いタンパク質を適切な量で摂ることがすすめられます。
もし腎不全用の食事を食べなくなっても、自己判断で安易に普通の食事へ戻さず、食事の温度や回数を工夫するなどして、獣医さんの指示に従いながら長く管理していくことが重要です。
こまめな水分補給
犬の腎不全では多飲多尿により脱水状態に陥りやすいため、適切な水分補給が非常に重要です。常に新鮮な水を用意し、犬がいつでも自由に飲めるようにしましょう。
例えば複数の場所に水飲み場を設けることで、犬がより水を飲むようになることがあります。また、水飲み用の器の種類や高さを変えてみるのも飲ませやすくするために良いでしょう。
ドライフードだけを与えている場合は、水分摂取量が不足しがちです。そのためウェットフードやドライフードを水でふやかして与えることも有効な手段です。
もし犬の飲水量が急に減ったり、極端に増えたりした場合は、病状の変化が考えられますので、早めに獣医さんに相談してください。
定期検診で健康状態をチェック
腎不全は徐々に進行する病気なので、定期的な検査で状態を把握することが大切です。
血液検査や尿検査を定期的に行うことで、腎臓の機能、電解質のバランス、貧血の有無などを早期に確認できます。
検査の数値にわずかな変化が見られた場合でも、食事内容の調整、薬の追加、点滴の頻度を見直すことで腎不全の悪化を防げる可能性があります。
また、自宅での飲水量、尿量、食欲の変化などを記録しておくと、診察の際に獣医がより正確な判断をすることができます。
さらに犬の症状が落ち着いているように見えても、自己判断で通院を中断せず、何か変化があれば獣医さんに相談し、治療計画を柔軟に調整することが重要です。
犬の腎不全に関するよくある質問
犬の腎不全に関して、飼い主さんたちから検査、治療費、日々のケアについて多くの質問が寄せられます。ここでは、その中でも頻繁に寄せられる質問とその回答を理解しやすいように解説します。
犬の腎不全の検査はどんなことをしますか?
犬の腎不全の検査では、まず血液検査でBUN、クレアチニン、SDMAなどの値を測って腎臓のろ過能力をチェックします。それと同時に、尿検査で尿の濃さやタンパク尿がないかを確認します。これで、腎臓がどれくらい尿を濃縮できているかがわかります。
さらに必要であれば、超音波検査やX線検査で腎臓の形や大きさ、結石や腫瘍がないかを調べます。これらの検査は腎不全の原因を特定したり、病気がどれくらい進んでいるかを知るのに役立ちます。
自宅でできるケアには、食事管理と水分補給以外に何がありますか?
自宅での腎臓ケアでは、処方食の継続と日々の観察が重要です。具体的には体重、食欲、飲水量、尿量の変化を記録することで病状の悪化や治療の成果を早期に把握できます。
一方で生活環境についても安静を保ち、快適な状態を心がけ、過度な運動やストレスは避けるようにしましょう。
もし急に元気がなくなったり、嘔吐や排尿に異常が見られた場合は、自己判断せずに、すぐに動物病院に相談してください。
高齢犬になったら、特に腎臓病の予防のために何をすべきですか?
高齢犬は腎臓の機能がゆっくりと低下することがあります。そのため、定期的な健康診断がとても大切です。血液検査や尿検査を定期的に受けることで、症状が出る前に異常を見つけやすくなります。
最近では、クレアチニンよりも早く腎臓の機能低下を見つけられるSDMAという検査も推奨されています。日々の食事では塩分を控えめにし、水分をしっかり摂るように心がけましょう。
また、普段から体調の変化に気を配ることも重要です。
犬の腎不全の治療は高額ですか?
腎不全の治療にかかる費用は、病気の進行具合やどのような治療をするかによって大きく変わります。例えば、急に具合が悪くなった時に集中治療や入院、透析が必要になると、費用は高くなる傾向があります。
慢性腎不全の場合は、食事療法や薬、定期的な点滴などで症状を管理することが多く、治療が長くなるため、それに応じて費用もかかります。
病院へ行く頻度や治療方法によって自己負担額が変わってくるので、事前に獣医さんと費用のことも含めてよく相談しておくことが重要です。
薬を嫌がって飲んでくれません。何か良い方法はありますか?
犬が薬を嫌がる場合、処方食や少量のおやつに混ぜると、飲みやすくなることがあります。ほかにも投薬補助用のおやつやシリンジの使用も有効です。
錠剤が難しい場合は、獣医さんに相談して液体薬や粉薬など別の剤形への変更を検討することもできます。
無理に与えると犬にストレスがかかるため、必ず獣医さんに相談して犬の性格や状態に合わせた投薬方法を検討してください。
まとめ
犬の腎不全は、早期発見と適切な治療、日々の継続的な管理が重要となる病気です。急性か慢性かの区別、原因の特定に基づいた治療計画が症状の進行を遅らせる可能性もあります。
さらに食事療法や水分管理、定期的な検査といった飼い主さんによる生活面のサポートも、犬の状態に大きく影響します。完治は難しいものの、獣医さんとの連携によるケアで愛犬のQOLを高く保ち、穏やかな生活を支えられるでしょう。


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